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欧米の終わりなき対テロ戦争

昨日のニュースの続報である。

10月3日に、アメリカ国務省がヨーロッパでテロの危険が高まっていると、危険を勧告。イギリス外務省はフランス、ドイツでのテロの危険が高いとして脅威評価を最高度に引き上げたという。

欧米の揃ってのテロ攻撃警告には一定の根拠があるのだろう。
報道によれば、情報源は、アフガニスタンで拘束された、ハンブルグ出身のアフガニスタン系ドイツ人で、昨年複数のドイツ人らとアフガン入りし、対米戦争に参加していたという。9.11事件の犯人のひとり、モハメド・アタと同じハンブルクのモスクに通っていたともいう。

欧米各国のテロ恐怖症は、終わりがない。
アメリカでは昨年末の航空機爆破未遂、フランスでは今年7月のニジェールでの仏人誘拐事件、イギリスでは2度のテロ攻撃と何度もの未遂事件、ドイツでも昨年、アルカイダ系の組織がテロ予告映像をインターネットにアップしたことで警戒態勢を高めた。また、今回の米英の警告にあわせるようにスウェーデンのSAPO(保安警察)が10月1日にテロ警戒態勢を引き上げた。

2001年から、この繰り返しである。いや、もちろんもっと以前から、攻める側と守る側、その立場を変えながら、延々と続いてきた戦争の姿。

このブログが注目するのは、この戦争の中心は軍事力ではなく、諜報力、知恵の力であるということだ。
前述のアフガン系ドイツ人は、軍事力の脅威に晒されたわけではなく、おそらくは言葉の力、モスクでのイスラム原理主義者の言動に発奮してアフガン入りしたのだろう。
心理戦争は、スパイ戦の一端でもある。

このような扇動が力を持つのは、中東やアジア、アフリカでの先進国の暴力的な振る舞いがあるのは、いわずもがな。しかし、そこには手放しの悪意だけがあるのではなく、一筋の善意の光もある。その光を増幅して、テロリスト候補者を、民主主義側に引き戻すのも、その道筋をつけるのも、今後の情報機関の役割になるかもしれない。


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対テロ戦争、黙々と進行中

先月28日、イギリスの衛星TVが、「パキスタンを拠点とする国際テロ組織が、英仏独で同時テロを計画していたが、諜報機関が同組織の動向を追跡監視しており、実行には至らなかった」と報道。

テロ組織による実力行動が行われた場合は、大々的に報道されるが、未然に防いだ場合には大きな事件にはならず、報道も少ない。

今回も、(少なくとも日本では)あまり大きくは取り扱われていない。
しかも、情報源を守るためや、組織防衛のために、テロ工作を阻止に成功したとしても公にされない事案があると、これは私が個人的に推測している。

今回の報道は、今この時にも、欧米各国の情報機関が多大な労力を割いて、国際テロ組織との闘争を続けていることを垣間見せた。
もちろん、逆にアルカイダをはじめ、テロ組織はその主張に基づく行動(テロ行為という認識があるとは限らない)を計画実行しようと、それこそ何千、何万の人間が行動している。

私は9・11以降、アメリカ本土でテロが起こっていないことを、驚きを持って評価している。
昨年末の航空機爆破未遂を待つまでもなく、おそらく何度もテロリストはアメリカ国内でのテロ実行しようと、膨大な資金や人員をつぎ込んだと思われる。
しかし、運もあっただろうが、同国の諜報機関、警察、税関、沿岸警備隊などの組織が、見事にそのすべてを未然に防いできた。

世界を舞台にした、情報機関とテロリストの攻防は、多くの人命がかかっていると同時に、「知恵の戦い」の見事な結実だと考える。

いつかその実態を、知りたいものだ。
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