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MI-6の公式史

MI-6の公式が刊行されるという報道がありました。

しかし、以前、情報史の大家、クリストファー・アンドリュー氏が著した「MI-5の歴史」(タイトルは、Defend the Realm: The Authorized History of MI5)は公式史ではなく、公認の歴史だと、ブログ「イギリス情報部の歴史」に書かれています。

今回MI-6史の正確には公認史なのでしょうが、それより残念なのは、1949年までの記述しかないことです。
当然のことながら、冷戦時代の終わる90年代に活動した人々は現在でも活動を継続していたり、あるいは利害関係を保持したりしているでしょう。なので、書けないことが多いのもわかります。

しかし、49年までというのは少し中途半端な気がします。
多くのジャーナリストや研究家や時には当事者が、実名でマラヤ紛争、アフリカでの多くの戦争、フォークランド紛争やアイルランド紛争、また21世紀のアフガン戦争やイラク戦争について、記事を書き、経験を暴露し、意見を発表しています。
それについて、政府の情報機関がどう関わったか、知りたいのは人情でしょう。
それらは、50年後に持ち越しなのでしょうか?



http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100922-OYT1T00470.htm

「007」実在モデル暴露?MI6の公式本刊行


刊行されたMI6の正史を掲げる著者のキース・ジェフリー教授=ロイター 【ロンドン支局】スパイ映画「007」で知られる英対外情報部(MI6)の歴史を公式にまとめた本が21日、刊行された。

 存在すら不明だった組織の正史出版は初めて。1909年の創設から、冷戦が顕著になった49年までのスパイ活動を詳述し、英国の有名作家で、「月と六ペンス」で知られるサマセット・モーム(1874~1965)、「第三の男」を書いたグレアム・グリーン(1904~1991)らが所属したことも確認された。AFP通信などが報じた。

 また、「007」シリーズの主人公ジェームズ・ボンドには実在のモデルもおり、原作者イアン・フレミングの親友で、ボンド同様に「美女と速い車が好きだったスパイ」だという。

(2010年9月22日13時24分 読売新聞)
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情報機関員の出向

一昨日の記事、「MI6情報員、死体で発見」。

日本では、あまり後追い記事は無いようだ。

週刊新潮に記事が載ったらしいが見ていない。

が、ニューズウィーク日本版オフィシャルサイトに、1P程度の記事があった。

それによると、ガレス・ウィリアムズは数学の天才で、自転車レースに熱心だったということ、公式にはいまだに死因が特定されないことがわかる。

まあ、興味が引かれるのは、GCHQ(英国政府通信本部)から1年前にMI6に出向していたことだ。

おそらく、シギント(シグナルインテリジェンス)に関する技術提供と、MI6との情報授受が目的だと思うが、もちろん推測でしかない。

情報機関員が、他の機関に出向することは、なんとなく知ってはいたが、実例を多くは知らない。

有名なのは、CIAとFBIだろう。具体的には、1990年代後半、FBIニューヨーク支局の対外諜報担当官、ダニエル・コールマン捜査官が、CIAの対テロセンターに出向していたことだろう。オサマ・ビン・ラディン追跡を行い、しかも周知のように成果は実らなかった。

日本では、内閣情報調査室は、室員にはじめから専任者と出向者がいるという。

なにしろ、歴代の内閣情報室長(現在は内閣情報官)は、ほぼすべてが警察出身者で、専任者は一人もいないのだ。

CIAだって、長官は外部から来る、というがあれは閣僚級だから。しかしそれでも、生え抜きの長官が何人かいる。




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